栄光一途 |
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著者:雫井脩介 |
日本女子柔道強化チームの望月篠子は、強化選手の中にいるドーピングをしている選手を探すように指示される。候補は吉住と杉園の2人の「シンジ」。篠子は調査を開始するが…。 雫井脩介のデビュー作にして、望月篠子シリーズの第1段。 新人賞の評価時点では、かなり酷評をされたらしいが個人的には結構好き。序盤から、大きな謎が提示され、その調査過程で事件発生というのは、手堅いといえばそうかも知れないが、安心して楽しめる(それが酷評の原因?)。作中の柔道の試合のシーンなどは、迫力満点だし、十分に楽しめた。 ハッキリ言って、最後のどんでん返しは、強引なイメージ。ご愛嬌と言えばご愛嬌だろうけど、不要だったように思う。 (05年6月19日) |
白銀を踏み荒らせ |
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著者:雫井脩介 |
ドーピング問題で柔道会を離れた篠子は、友人・深紅の紹介もあってアルペンスキーチームのメンタルコーチに就任する。そんなある日、チームに同行する学者から、ある書類の輸送を依頼されるのだが…。 雫井脩介のデビュー作『栄光一途』の続編で、望月篠子、佐々木深紅らも再登場。彼女らのキャラクターは、前作よりも更にハッキリして魅力的になったと思うし、前作、絶賛された柔道の試合のシーンと同様、今回のアルペンスキーレースのシーンの迫力は満点。ミステリとしての出来も悪くは無い。 |
火の粉 |
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著者:雫井脩介 |
裁判官・梶間勲は世間を騒がせた一家殺人事件の容疑者・武内へ無罪判決を出す。それからしばらくし、裁判官を辞した梶間の隣家へ引っ越してきたのは、その武内だった。紳士的な態度で接してくる武内だったが、梶間家では不可思議な事件が次々と発生する。 |
虚貌 |
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著者:雫井脩介 |
岐阜県で起きた運送会社の社長宅襲撃事件。社長夫妻は死亡、娘は半身不随となり、息子は大火傷を負うことに。まもなく、従業員らが逮捕され、事件は終わった…はずだった。21年後、主犯格とされた男が出所したそのとき、当時の加害者達が次々と殺害される。 タイトルを見ればわかるとおり、この作品のテーマは「顔」。登場人物それぞれが、「顔」に何らかの思いを持つ。 事件を追う老刑事・滝中は、人の顔を覚えることが出来ないことを悩む。滝中とコンビを組む刑事・辻は、自分の顔にある大きな痣をコンプレックスに感じる。滝中の娘であり、芸能人である朱音はその容姿に自身を失ってしまう。そして、顔の見えない犯人…。 「顔」というテーマを中心としたそれぞれの心情。そして、事件の真相。それぞれが上手く融合して話が進行していって、終盤まで全くスピードが落ちることなく終盤まで読み進められた。 ただ、これは、『栄光一途』を読んだときにも感じたことなのだけれども、終盤の二転三転がありすぎてちょっと訳がわからない状況になった部分があったのは確か。トリックそのものは、100%有り得ないとは言えないのだが、多少反則ぎみだし。 それでも、十二分に楽しめた作品ではあったけれども。 (05年7月8日) |
クローズド・ノート |
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著者:雫井脩介 |
騙された!! 何だよ? 「香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める??」なんて、書いてあるから、これまでの作品からすっかりホラーか何かだと思ったのに!!…いや、勝手に勘違いした私が悪いんだけどね。 しかし…万年筆の試し書きで「人間国宝」と書かれたら、そりゃ、みんな引くわなぁ(笑) |
ビター・ブラッド |
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著者:雫井脩介 |
家族を省みずに仕事に向かい、崩壊させてしまった父。夏輝は、そんな父へ反発を覚えながらも、父と同じ刑事となった。そんな夏輝が初めて迎えた事件。コンビを組むことになったのは、実の父・明村…。 |
TENGU |
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著者:柴田哲孝 |
2000年秋、通信社の記者・道平慶一は26年ぶりに沼田の集落を訪れる。かつて、「天狗」騒動が持ち上がり、連続殺人へと発展した場所へ。今でも心を囚われたままの女性・彩恵子と出会った地へ。当時の真相を知るために…。 |
KAPPA |
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著者:柴田哲孝 |
7月のある日、ブラックバス釣りに来た男が、水中に引きずり込まれたという一報が入る。目撃者は「河童だ」と…。事件を捜査する刑事・阿久沢は、目撃者の男による事件する捜査方針に疑問を感じ、独自の調査を開始する。一方、ルポライターの有賀もまた、「河童」の正体について調査を開始する…。 柴田氏の作品は、『TENGU』に続いて2作目なのだが、やはりこういうタイプの作品を書く作家なのか…と言う、のがまず最初。人間を食い殺した謎の生物。河童と言われるその生物の正体は何なのか? ただ、SF的な方向へ行ってしまった『TENGU』と違い、こちらはかなりリアリティのある内容となっている。 作品としての問題提起はなかなか厳しい。ブラックバスの放流、アメリカザリガニやウシガエル、ブルーギル…本来、日本にいなかった生物が、元の生物たちを駆逐してしまい、そして、それらの外来生物によって食物連鎖が完結してしまっている現実。そこで起こった「河童」騒動。 本作は91年に発表された作品の改稿・復刊した作品。こういう作品だと往々にして古さを感じることがあるのだが、本作についてはそれを感じることはなかった。ただ、実際の「河童の正体」については、実は意外性があまりない。と言うのは、古いから…ではなく、そこで書かれたものとそっくりの出来事が現実にも起こっているため。古さ、ではなくて、本作の先見性があまりにも正確なのが仇になっているように感じるのである。ある意味、痛し痒し、と言うところ。 でも、作品としては十分に楽しめる出来だと思う。 (07年12月25日) |
「大人」がいない… |
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著者:清水義範 |
はぁ…。 |
戦国の長嶋巨人軍 |
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著者:志茂田景樹 |
謎過ぎる(笑)。とにかく謎過ぎる(笑)。 もっとも、そんな本を読んだ自分自身もかなり謎なのだが(笑) |
事故係 生稲昇太の多感 |
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著者:首藤瓜於 |
『脳男』に次ぐ首藤瓜於の作品は、熱血漢の若手警官を主役とした青春物語。何か起こると、一所懸命やろうとし、先走り、失敗しながら成長していく、連作短篇集…だと思う。 う〜ん…1つ1つにちょっとした事件が起こり、失敗などをしながら完結していくわけだけだが、どうもイマイチ盛り上がらないまま終ってしまった感じ。まぁ、最後の『まみ』などは、確かに盛り上がったのだが…。 ところで、これで完結なのだろうか? どうも、全体的に盛り上がりに欠けたまま、しかも最後が凄く中途半端な印象。正直、これで終りですよ、と言われても不満が残るのだが…。 (05年4月11日) |
脳男 |
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著者:首藤瓜於 |
第46回江戸川乱歩賞受賞作。 |
刑事の墓場 |
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著者:首藤瓜於 |
署長の片腕として活躍した雨森が異動した先は、捜査本部の置かれたことすらない小さな署・動坂署。そこは、不祥事を起こした者や無能な者を飼い殺すための「刑事の墓場」と呼ばれる署だった。失意の雨森が最初に処理したのは、些細な障害事件…のはずだった。 |
ハサミ男 |
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著者:殊能将之 |
うん、面白かった。 しかし、確かにこの作品、どうやって映画化するのか、実に楽しみである。 |
美濃牛 |
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著者:殊能将之 |
石動戯作のキャラクターは面白いし、大量の引用・参考文献を用いた小ネタも凄い。 ただ、一方で、トリックとか、そういう点で見ると、何か普通。 引用した文章、小ネタなども、知っている人はニヤリかも知れないけれども、わからないと普通にそのままスルーということになるんだろうし・・・。 文庫で700頁超の大作を一気に読ませるだけの実力はあるわけだし、面白いことは面白いんだけど、どうも「ハサミ男」の衝撃と比較すると劣ってしまうような・・・。まぁ、私が小ネタとかについていけなかった部分も大きいのだろうけど・・・。 (05年2月12日) |