セカイのスキマ3
著者:田代裕彦

夏休みに入った学園。その冒頭から、「四つ辻の会」は「合宿」と言うなのボランティア会に向かうことに。他の部活とともに伊豆の合宿所へと言った哲たちだったが、現地の高校生・良和の母が「神隠し」にあったらしい、という話を聞き…。
このシリーズは、ここで一段落になるのか…。多少、これまでとは趣が違うな…というところはあったものの、いつも通り事件を解決して…という流れだと思っていただけに、終盤に展開にビックリ。
個人的に今回のMVPは高村先生!! 「ゾウリムシとかミトコドリアとか細胞分裂なんか、心底どうでもいいっ!」に大笑い。いや〜…私、高村先生と気が合いそうだ(笑) 高校時代、生物のテストで92点〜28点という素晴らしく幅広い点数の動きを見せた私としては、良くわかる。「メンデルの法則なんぞ、心底どうでも良いっ!」って感じだったからなぁ(ぉぃ)
まぁ、今回のテーマとしては、「神隠し」ではあるんだけど、主題としては哲、そしてみこ自身に関する部分。哲という人物が何を目的にしているのか、そして、みこが何を求めているのか…みたいな部分が中心に。神隠しに関する謎解き…というか、理屈付けについては、ちゃんとあるんだけど、むしろ、彼ら自身の問題を語る上での副題のような印象になった感じ。そして、それらがわかった上での結末…と。
うーん…この結末をどう考えるか…だよな。悪い…とは思わないんだけど、一方で、何かスッキリしない部分も少し残る、と感じたのも確かで…。どうしましょ?(笑)
それはそれとして…私はあんまりイラストとかについては気にしない性質なんだけど…このシリーズ、重ねるごとにイラストが劣化してないか? 正直、この巻のはかなり酷いと感じた。それがちょっと残念。
(07年3月22日)

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若者を喰い物にし続ける社会
著者:立木信
常に一貫して「社会的弱者」とされる高齢者。だが、日本における社会福祉制度などからしても、高齢者は優遇されている。真の弱者は若者である。
というのが、内容になるだろうか。日本の福祉制度というものが、いかに高齢者を厚遇しているか。そして、そのような制度がどのような経緯で築かれたか…そういうものへと迫っていく。そして、少子化問題を若者の自己責任に転ずる論調への批判。さらには、少子化による人口減が悪いことではない、という意見に対する批判を行う。
年金制度が、現役世代から搾取し、高齢者に回す制度であること。その制度そのものが破綻寸前であること。というのは、よく知られたことであるが、そのためにいかに若者(まだ生まれてすらいない世代も含む)にツケを回しているか、というのを具体的な数値を持って示すことは重要な意味があると思う。また、日本の年齢分布からいっても高齢者優遇になりやすい状態であるとか、「弱者の味方」を標榜しながら「既得権者」である老人世代の味方しかしていない「左派」批判なども面白い。
ただ、そういう指摘は面白いのだが、正直、提言自体はかなり貧弱。「若者よ諦めるな」と言ってみたところで、有権者の平均年齢が50歳台では…となってしまうし、しかも、やたら挑発的な文章で高齢者世代を批判するのでは、そちらの理解を得ることも出来まい。また、もう少し、言説の中に根拠を示してもらいたい、と感じる部分もある。
日本の社会制度の問題点の指摘、という意味では意味があると思うのだが、短所も目に付く。
(07年8月17日)

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それでも、警官は微笑う
著者:日明恩

警視庁池袋所属の武本は、密造拳銃事件を追ってある男を追っていた。麻薬取締官の宮田は、ある目的を持って、ある男を追っていた。そして、二人は出会い…。
第25回メフィスト賞受賞作。にしても、我ながらわかりにくい冒頭説明文だよなぁ…。
正直、この作品で私のメフィスト賞のイメージがまた変わった感じがする。これは、まさに正統派な警察小説だ。
物語自身は大掛かりなトリックがあるわけでもなければ、どんでん返しがあるわけでもない。悪役の正体・目的も早々と判明する。ただ、それだけに、ストレートに登場人物の魅力が際立っている。
無骨で実直な武本と、何を考えているのだかわからないけれどもなぜか憎めない潮崎のコンビ。一方、かつての恋人の父の死の真相を追い求める宮田。警察と、麻薬取締官…それぞれの立場の違いに苦しみながらも、自らの目的にひた走る…。そして、その結果…。読み終えたときに、タイトルの意味について納得できた。
細かく見れば欠点がないわけではない。リアリティって部分でも、微妙なところだろう。でも、十分に楽しめた。
(05年10月5日)

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鎮火報
著者:日明恩
新米消防士・大山雄大、二十歳。父は、消防士で救助作業中に殉職。仕事の為に命を張るのはくだらない。早く危険な前線での仕事から安全な内勤へと移りたいと願う日々。そんなある日、出動した古アパートで、不可思議な事態にぶつかって…。
うーん…後読感そのものは良いんだが…。ただ、なんか、全体的な構成をもう少し何とか出来なかったものだろうか? というのを感じる。
基本的には、「仕事に命を賭けるなんて馬鹿馬鹿しい」という新米消防士・雄大が、不可思議な火災に巻き込まれる…というミステリー的な要素と、雄大そのものの成長物語…という二つのポイントを中心に展開する。見せ場というべき救助の場面は悪くないし、そこに纏わっている薀蓄みたいなものも面白いといえば面白い。
けれども、あまりにもスッパリとその二つの要素が別れすぎてしまって「うん?」という感じ。なんか、ある意味では、事件を糧に成長した、ともいえるのだろうが…もう少しその辺りの流れにスムーズさが欲しいと感じる。
また、消防に関する薀蓄情報、また、作中で重要な意味を持つ不法就労の外国人に関する話は面白い。面白いのだが、長すぎる。なんか、この辺りが長々と続いてしまうがゆえにシンプルなストーリーでありながら作品全体が長大化してしまっているし、また、構成のアンバランスさがより際立ってしまっているように感じる。もう少しスリム化されていればな、ということを思わざるを得ない。
部分部分での面白さはあるのだが、1本の長編小説としてはもう一歩…という印象。
(07年5月31日)

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大切に育てた子がなぜ死を選ぶのか?
著者:田中喜美子
06年ごろから、子供たちの「いじめ自殺」が相次いでいる。これは、現代の子供に「生きる力」がなくなっていることに他ならないだろう。なぜ、そのような「生きる力」のない子供が育ってしまったのか…。
ということなんだけれども…ハッキリ言って著者の言う「生きる力」って何? そもそも、この本、序章の話の展開からして凄まじい。まず、いじめ自殺が相次いでいることについて触れ、「昔はイジメなどなかった」「昔のイジメは現代のそれほど酷くは無かった」という意見を「そんなことはない。昔も凄惨なイジメは沢山あった」と一蹴する。これは、同感である。が、そこから、「昔はそれでも自殺しなかった。今の子供は死を選んでしまう。これは生きる力がなくなっているからだ」という展開をする。なぜ、いきなりそこへと飛躍するのか理解に苦しむ。普通に考えて、だとしたら子供の自殺の数であるとかを調べる、とか、色々とするべきことはあると思うのだが、そんなことはせず、「生きる力」がなくなっている、という結論へと結びついてしまう。
基本的に、この書の中には、客観的なデータというものは一切登場しない。著者が、こういう風にする、すると、こういう子供になる。それが「生きる力」を奪ったんだ…でひたすら話が進む。
そして、何よりも謎なのが、この「生きる力」というものである。基本的に何に対してでも「問題点は生きる力だ」と言っているように感じられてならないのだ。例えば、子供の顔に生気が感じられない、だの、親や社会に反抗しない、さらには、会社でサービス産業を強いられて自殺するのも「生きる力」がないからだ(なぜ、断れないのだ? という)、などというのはいかがなものだろうか? 前半2つは、著者の価値観そのものだし、最後など社会システム、状況を抜きには考えられまい(経済不況でリストラが進み、しかも、再就職も難しい中、「NO」といえるだろうか? まして、家族がいる人ならば余計に) そういうものを全て「生きる力」の問題で片付けられても困る。
著者の指摘する家庭を巡る変化であるとかは、面白いとは思う。だが、それが「生きる力」と結びつかない話も多いし、また先に書いたように、著者の言う「生きる力」が本当に「生きる力」なのか? という問題もある。
どうもその辺りに疑問が色々と沸き、結果として「最近の連中は…」という老人の嘆きとしか取れない。
(07年6月17日)

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ギャンブル依存症
著者:田辺等
借金を繰り返してもパチンコや競馬、麻雀などに没頭する「ギャンブル依存症」。そのような事態の事例と、著者らの取り組みを著した書。
うん、面白かった(という書き方も変か)。ギャンブル依存症になった人の行動事例や、それまでの人生の分析のようなところから始まって、その家族が陥りやすい事態、買い物依存症・恋愛依存症などとの比較、そして、著者らの行っている治療の取り組みと続いていく。チェックシート、Q&A方式などの書き方や、その構成などもあって、すんなりと内容が頭に入った。
私自身、競馬好きな人間なので、こういう本も…と思ったわけだが、なるほど、考えさせられることも多い。依存症になってしまった人の事例で、ギャンブルが一種の自己実現、なんていうのがあったが、それだけ…ではないにしろ、ある程度は自分にもあてはまっているな…なんて感じるところがあったりもしたし…。また、治療のためのグループカウンセリングなどでは、その発足から描かれていて、そのような歴史という意味でも興味深く読めた。
個人的には、たくさんの事例を出したのだから、(著者の診療した患者さんの事例で良いので)具体的な数値でどのくらいの割合でこういうパターン、なんて言うのを示してもらえるとより良かったな、なんてことは思ったのだが、十分、満足の出来る内容だった。
(05年9月28日)

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ツキの法則
著者:谷岡一郎

何かタイトルだけを見ると、「ギャンブル必勝本」みたいに思えるのだが、そういう類の本ではない。ギャンブルというものに統計学を当てはめてみるとどうなるか、ということである。
書かれていることを鑑みれば実に当たり前のことが書かれているに過ぎない。ルーレットで「10回連続で赤が出るのは1000分の1」だが「6回続いた後、さらに4回続くのは16分の1に過ぎない」。そりゃそーだ。
その上でこの書で行われるのは、「大敗しない賭け方」の考察である。大負けせず、ギャンブルに伴う予想の楽しさ・興奮などの良いところを十分に楽しもう…この考え方は素直に共感できる。
もっとも「統計学的に最適な方法」を取ることと、「ギャンブルの良いところを楽しむ」がそのままリンクするかどうかは別問題だろうけれども。
(05年6月12日)

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社会調査のウソ
著者:谷岡一郎
この書で書かれているのは、日ごろ、マスコミなどをにぎわす「調査」についてである。著者は、その殆どが「ゴミ」である、とし、様々な調査の実例を用いながら、その欠点、さらには社会調査にとって重要なポイントを解説していく。
この書の最大の特徴としては、4章である。他の章で扱われる、「こういう風におかしな調査が行われる」だとか、「この調査はここが問題である」といった部分は、他の書でも比較的語られている。が、4章では、そのバイアスが起きる仕組みを解説すると同時に、それを回避するための方策が語られる。この部分などは、調査をしようとする者にとっての入門書としても役立つのではないだろうか。著者の提案する、「ゴミ調査をなくすための方策」は、多少理想論的な部分はあるが、納得のできる範囲ではある。
もっとも、一つだけ書いておいたほうが良いと思うことがある。この書、タイトルが『社会調査のウソ』であり、また、序文の冒頭でも「多くの社会調査が実名で批判されており…」とあるのだが、この書で批判されているものの殆どは「社会調査」ではない。というか、サンプリング、調査票、分析…などなど、様々な部分でのルールをパスしてはじめて「社会調査」と呼んで良いのだから。そういう意味では、タイトルに偽りあり、と言える。
もっとも、そんなルールにいきなり引っかかるような杜撰なものが「社会調査」として世間を賑わせているのも事実であるが。
(05年12月18日)

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涼宮ハルヒの憂鬱
著者:谷川流

高校に入学した早々、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい」という挨拶をかました涼宮ハルヒ。「いくら何でも…」と思った俺だが、その涼宮に付き合わされて…。
第8回スニーカー大賞の大賞受賞作、『このライトノベルがすごいう!2005』ランキング1位のシリーズ第1段。
うん、この作品、最後にある編集者の解説で言いたいことを殆ど言われている気がする(笑) 多少、美麗字句だらけで嫌味に感じたけど(ぉぃ)
ということで、その解説とダブるところが多いのだが、これを読んで最初に感じたのは、ライトノベルによくある「パワフルで突拍子も無いヒロインに振り回される少年の物語」的な話。前半くらいは完全にそのパターン。ところが、中盤、でそれがひっくり返されて一気にSF的な話に変貌。確かに、この流れの変化は見事だと思う。小ネタも効いているし、面白かった。
欠点を挙げるとすると、まとめ方がどうかな? という感じ。ライトノベルの場合、多くはシリーズ化されるし、そのためのまとめ方がされている部分もあるかもしれないんだけれども、少なくともこの『涼宮ハルヒの憂鬱』単独で見ると、微妙なまとまり方になったな…という印象が拭えなかった。聞くところによればシリーズ4作目『涼宮ハルヒの消失』で、一段落とのことなので、とりあえずそこまでは追いかけてみようかと思う。
(05年7月21日)

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涼宮ハルヒの溜息
著者:谷川流

高校入学から半年、望んだものを具現化することのできる存在・涼宮ハルヒ率いる謎の団体・SOS団は文化祭で映画上映をすることに。自ら監督を務め撮影を開始するハルヒだったが、その最中に思ったことが具現化されていき…。
ということで「涼宮ハルヒ」シリーズの第2作に当たる作品。
う〜ん…ちょっと事前に調べてみたところでは、シリーズでも評価が低い作品なんだよな…。
ただ、個人的には、前作よりも楽しめた感じがする。前作は、序盤がただひたすらにハチャメチャ、後半は実は…という形だったわけだけれども、今作はそういう設定が最初からわかった状態で、その中でキャラクター達が動き回るという形。それだけに、前作のようなカタルシスは無いとも言えるんだけれども、前作で個人的に不満だった、後半のテンション減がなく、最後までそのテンションを維持して楽しめたように思う。ま、どっちが良いかは好みの問題なのかも知れないけど。
ま、ある意味では「お約束」的なまとめ方なのかも知れないけど、十分に面白いと思った。
(05年8月10日)

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涼宮ハルヒの退屈
著者:谷川流
涼宮ハルヒシリーズの第3作目。今作は完全な短編集。
そうだなぁ…、なんか、短編集らしく、一発ネタ的な要素が強い作品が多いなぁ…という感じかな。
表題作「涼宮ハルヒの退屈」。野球大会に出場して…っていうのは、どちらかというと、野球大会に出て…というドタバタ劇的な要素が強い話。「笹の葉ラプソディ」は、この作品でもっとも、SF的な要素が強い話かな? タイムスリップモノ、といえばそうなんだけど、上手いね、と感じた。「ミステリックサイン」は…個人的にちょっと微妙な感じ。あんまり、SF的な知識が無いから、って部分もあるのかも知れないけど。で、一番長い「孤島症候群」。こちらは、ミステリ作品的なテイスト。まぁ、ミステリと言っても、ある意味では初歩中の初歩っていう感じだけど。でも、この世界観を上手く活かした形じゃないかな?
1巻で提案された世界観があってこそ、っていう感はあるんだけど、それを上手く活かしているのは確かだし、下手に伸ばして…っていうよりも良いんじゃないかな。
(05年9月3日)

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涼宮ハルヒの消失
著者:谷川流
クリスマスを直後に控えたその日、世界は大きく変貌していた。「涼宮ハルヒ? それ誰?」。最初からハルヒが存在しないうことになっていた。そして、その混乱の最中、現れたのは、消えたはずの委員長・朝倉涼子。
ということで、涼宮ハルヒシリーズの第4段。
なるほどね。前から、この「消失」の話は聞いていたけれども、この前、2冊には無い、大きな仕掛けの施されている作品。と、同時に、「溜息」「退屈」の2作品っていうのは、この「消失」のための伏線を張るための作品だったんだなぁ…というような印象を受けた。ここまでの作品で回収されてこなかった伏線がこの作品で生きてくる。そういう意味では、「憂鬱」からここまでの作品の集大成という意味合いが強い作品だとも思う。
確かに、前評判どおりに、シリーズの中でも「傑作」になる作品だと思う。ただ、先に書いたように、そこまでの積み上げがあってこそ、というのは否めないと思う(主人公・キョンの思いだとかも含めて)。SFとしての仕掛けの大きさ、と同時に、積み上げたシリーズ物の強み、の両輪があって始めて完成した作品のように思う。
(05年9月7日)

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涼宮ハルヒの暴走
著者:谷川流

夏、秋、冬を舞台にした3篇の短篇…というよりも分量的には中篇集。
う〜ん…刊行順に読んでいるんだけど、時期的に、「エンドレスエイト」は、『退屈』収録の「孤島症候群」と『溜息』の間。「射手座の日」は『溜息』と『消失』の間、そして「雪山症候群」は『消失』の直後と、やたらと時期が前後するので、ちょっと困惑。色々と事情があるのはわかるんだけどね。
まず「エンドレスエイト」は、話の展開そのものは予想通りじゃないかと思う。無限ループを抜け出すカギがあれとは思わなかったけど…。しかし、何だかんだでキョンって真面目だなぁ…。高校時代、宿題なんて出したことないわ(ぉぃ)
「射手座の日」は、長門の魅力…というか、変化を前面に押し出した話。特殊能力封印しても、やっぱりそれ、人間業じゃあないわな(笑) 20の艦隊を同時に動かしながら、なおかつプログラム書き換えって…。
「雪山症候群」は…ごめんなさい。私に数学を振らないで(笑) オイラーもさることながら、ケーニヒスベルクの橋すら私にゃわかりませ〜ん(笑) 高校2年から先、受験、大学時代を含めて一度もロクに数学を勉強しなかった私を舐めるなよ(阿呆) 数式やら図やらが出た時点で、思考が半分くらい停止した自分が嫌だ。これだから、私立文系って奴ぁ…って自分か(苦笑) でも、終盤になって鶴屋さんの存在が一気にクローズアップしたね。聞く所によれば、これからも存在感がどんどん出てくるらしいし…。
と、「雪山症候群」に関しては、何が何だかわからない文章になってしまったけど、全体を通してみると、かなり長門の存在感が目立った話のように思う。いや、これまでも、重要な局面に現れて、重要な役割を果たしているけど。個人的には、長門がこのシリーズの最重要人物では? とすら思ってしまう。まぁ、私が長門派(?)だからかも知れないけど…(できれば、メガネにもど…ごほん、ごほん…)。
しかし、なんてまとまりのない書評だ(^^;)
(05年9月13日)

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涼宮ハルヒの動揺
著者:谷川流
涼宮ハルヒシリーズの第6段。『ライブアライブ』『朝比奈ミクルの冒険』『ヒトメボレLOVER』『猫はどこに行った?』『朝比奈みくるの憂鬱』の5編を収録。
相変わらず時間軸が行ったり来たりしているなぁ…。『ライブアライブ』『朝比奈ミクルの冒険』は、『溜息』でも少し触れられた文化祭の話だし、『猫はどこに行った?』は、 『暴走』の『雪山症候群』の直後とか、もはや何が何だか…。シリーズが完結したら、時間軸をちゃんとして再編集してくれないだろうか?(苦笑)
今作の場合、それぞれの人間関係みたいな部分を中心にして、SF設定のようなものは本当に少しだけ、という感じ。『朝比奈ミクルの冒険』は、劇中劇とも言うべきもので、設定そのものが出てきていないし、『猫はどこに行った?』は『退屈』収録の『孤島症候群』同様にミステリ仕立ての味付け(ま、これも劇中劇的な色合いが強いが)。SFの仕掛けが施されている、という意味では『ライブアライブ』『ヒトメボレLOVER』の2篇だけ。それもかなり薄い感じがした。
この中で注目に値するのは『朝比奈みくるの憂鬱』かな? 一応、話としては通じているんだけど、全体的にここまでの単行本で出ていない伏線の塊みたいな部分な印象。次回作『陰謀』の後日談的な意味合いもあって、ちょっと「???」なところが多かった。そういう意味じゃ、良いプロモーションにはなっているんだろうけど。
良くも悪くもシリーズの人間関係、キャラクターの魅力を中心にした作品だったように思う。
(05年11月28日)

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涼宮ハルヒの陰謀
著者:谷川流
年末からの懸案事項も片付き、ほっとした2月。俺は、ハルヒがおとなしいのがどうも気に食わない。そんな時、8日後の未来から来たという朝比奈さんと出会う。何も事情をしらない朝比奈さんと、やはり事情がわからない俺。そんな中で、未来の朝比奈さんの支持を次々とこなして行くのだが…。
涼宮ハルヒシリーズの第七弾。ようやく追いついた(笑)
うん、今回はハルヒの存在感が殆どないな(笑) 何か、様子がおかしいハルヒに気付きながらも、目の前にいる「8日後の」朝比奈さんと、支持に忙殺されるキョン。一応、ハルヒの企みっていうのはあるんだけれども、何か、オマケみたいな感じで、「陰謀」というほどの「陰謀」ではなかったような。いや、やらされる側はたまったもんじゃないだろうけど。
今回は、どっちかというと、朝比奈さんメインで、なおかつ、それぞれの背後にいる組織であるとか、はたまたそれぞれのなかの事情みたいなところが透けて来ていて、そっち方面の伏線張りみたいなところが中心だったのかな? という感じ。新展開への布石というか、そろそろシリーズそのものをまとめていく段階に入っているのか、という感じで、これまでの平凡な日常に起こる事件…みたいなところから話が動き出すきっかけになる巻、というような感じがした。
(06年2月22日)

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